ある家系調査で、一人のうつ病の患者を中心にして、その家系の中にうつ病にかかった人がどの位いるかを調べていく方法によると、その子供、兄弟・姉妹では10〜20%位、甥や姪では2〜3%という数字が出ています。
この家系の中にうつ病にかかった人を持つ人のうつ病の発病率は、一般の人のうつ病の発病率に比べて、非常に高い数字だといわれています。
もう一つの方法で、一卵性双生児がうつ病にかかったとして、もう片方にうつ病が発症する一致の度合を調べた方法では、50〜75%という高い数値が出ています。
このことだけをみると、うつ病にかかりやすい素質は、遺伝によって親から子へと伝えられるように思われます。
けれども、一卵性双生児の一致の度合も100%でないわけですから、遺伝だけでうつ病を発病するわけではなく、素質の上に、いろいろな環境的な誘引が加わってうつ病が発病するものと考えられています。
したがって、うつ病の遺伝について、いたずらに恐れる必要はないと思います。
日常生活の上でゆとりをもち,無理を避け、休養を充分にとることを心がけることが、うつ病を遠ざける上で大切だと思います。