精神医学的障害に対する差別や偏見をなくし、うつ病患者本人やその家族が、前向きな気持ちで病気に向き合うという意味で、「うつ病は風邪のようなもの」という考え方は大切なものです。
しかし、うつ病を風邪のようなものだといって軽く見てしまうことは、とても危険なことでもあります。
まずいえることは、うつ病は非常に強い苦痛を伴う病気だということです。
うつ病になった人たちは、うつ病には他の人には伝えきれない苦しさがあることをしばしば訴えます。
当然のことながら、うつ病の苦しさを見ている周りの人たちも心を痛めます。
それだけではなく、うつ病は慢性化しやすい病気だという点でも風邪と違います。
しかも、うつ病になると、日常的な機能がひどく害されて、仕事や家事などに深刻な影響が出てきます。